2019年03月20日

第96回全体会を開催しました。

【日 時】 平成31年3月8日(金) 14:00〜15:30
【場 所】 石川県地場産業振興センター 本館2階 第4研修室
【内 容】 講演 『SDGsへの取り組み −リコー環境事業開発センターの挑戦−』  講師  株式会社 リコー  環境事業開発センター事業所長  出口 裕一 氏 


      【講演内容】
・リコーは産官学連携で事業を展開している。リコーと連携すると、いろいろなステークホルダーとのチャンネルが確保されるメリットがある。
・リコーは、コピー機を販売し、カウンター料金を収益源とするビジネスモデルで成長してきた。しかし、ペーパーレス化、少子化、コピー単価の下落により、現行のビジネスモデルの長期的な成長が見込めなくなってきた。カタログ、ポスター等の商用印刷等の新たなビジネスモデルを生み出すことが必要になった。そうしていく中で、環境の分野に事業領域を広げようという判断となった。
・なぜ環境事業を推進することとなったのか。昔からリコーは環境への取り組みを先進的に推進してきた。5代目社長が環境保全に非常に熱心で、環境保全と創出の同時実現を目指し、トップダウンで環境への取り組みを推進してきたため。現在は、さらに進化させ、【お客様の環境保全と利益創出の同時実現】(例:顧客が電灯を替えるときに、リコー製のLEDに替えてもらうことで、環境保全と、電灯のランニングコストの削減に寄与し、リコーの売り上げにもつながる。)をめざし、環境事業に取り組んでいる。
・SDGsが2015年に国連サミットで合意され、その後も世界的にSDGsへの取り組みは加速している。この流れを受けて、SDGsに取り組まない企業は市場から淘汰される、と言われている。
・世界のESG投資額は2,500兆円となり、投資額全体の25%を占めるまでになっている。ここに大きなビジネスチャンスがあると言える。
・自治体レベルの取り組みでは、例えばSDGsランキング第1位の京都市(環境への取り組みと公共交通機関の充実が評価されている)を見てみると、祇園祭ゴミゼロ大作戦という取り組みを行っている。屋台の皿を従来の紙皿でなくリユース食器を使用し、ゴミを減らす、というもの。
・SDGsの項目は、全部で17項目あるが全てを行うことは不可能。そこで、SDGsのうち7項目を達成するために、事業を通じて取り組むべき重要社会課題を5つ設定した。すなわち、生産性向上、知の創造、生活の質の向上、脱炭素社会の実現、循環型社会の実現である。その中で環境事業開発センターが取り組むのは、脱炭素社会の実現、循環型社会の実現である。
・元々コピー機のマザー工場であったリコー御殿場工場が、2013年に生産機能再編に伴い閉鎖。その後2016年に環境事業開発センターとして開所した。環境事業開発センターを開所したことにより、ビーカーレベルであった環境についての研究を実証研究レベルにし、自治体、企業、大学と連携を強化し、事業開発を加速した。
・環境事業開発センターはリユース・リサイクルの拠点としても機能。使用済み機器、トナーなどのボトル、パーツ等全国から集め、リユース・リサイクルをしている。機器については、年間8万台回収をし、1.5万台を再生コピー機として販売している。質・量ともに世界最大規模の拠点である。
・環境事業開発センターは、リユース・リサイクル拠点を集約した施設とも言うことができ、開所前は日本各地に17カ所あった拠点が、開所後は6カ所に減少した。これにより、倉庫、工場の家賃を払わずにすみ、人員を圧縮することに成功した。これにより年間12億円の改善効果があり、新規事業に充てることができた。
・新規事業に関しては、なかなか成功しないが、成功確率をあげるために、オープンイノベーション(産官学多様な主体の意見を聞き、取り入れる)を積極的に実践している。
・リコーは、RE100に日本で初めて加入した。2022年に達成出来るように取り組みを進めている。現
在は12%程度の達成率であるが、可能な限り早期に達成し、そのノウハウや知見を蓄え、コンサル等のビジネスにしていきたいと考えている。
・RE100、SDGs達成に向けて10個の環境プロジェクトを進めている。
・環境プロジェクトの中に廃プラスチック油化がある。廃プラスチックから再生油を作成し、それで出来た油をセンターのエネルギーとして利用する、という事業である。背景として、現在国内で年間1,000トンの廃プラスチックが出ており、約6割を燃やして処理している。この処理方法は環境への負荷が高く、リコーでも燃やして処理をしていたため、業者の処分料として年間2億円程度支払っていた。また、御殿場市との共同の取り組みとして、市内からペットボトルキャップを回収し、それらをセンターで油化、出来た油を地域のエネルギーとして消費する、という事業も行っている。(御殿場油田プロジェクト)
・油化するのが技術的に難しい物質に取り組む際は、周辺の大学等と連携を行いながら、事業をすすめており、ゆくゆくは、小型家電の処理に困っている自治体、プラスチック処理に困っている新興国にプラントを提供していきたいと考えている。
・10の事業のうち、照明・空調制御システムは、部屋の温度・湿度、人がいるか否か、どれくらい光が入っ
てきているのか等をセンシングして、最小限のエネルギーで最大の効果が得られるよう、自動で照明・空調
を制御するものである。実証実験においては、電気使用量を8割程度削減出来ているケースもあった。
・10の事業のうち、木質バイオマス利活用は、御殿場市内で発生する未利用間伐材を使用し、環境事業開発
センターの空調、給湯の熱源として利用する、というもの。御殿場市と共同で進めている。
・10の事業のうち、マイクロ水力発電については、建物の空調に使用する際の水が流れるパイプの中にプロペラを入れて発電し、工場の中の移動車両の動力にしている。また、用水路等にプロペラを入れて発電する方式については、プロペラに葉っぱ等流れてきたゴミが絡まってくる、という問題があったが、名古屋大学と協働し、プロペラ中央部分を中空構造にすることにより、その問題を解消した。
・10の事業のうち、蓄エネシステムについてはハイブリッド車の使用済みバッテリーを蓄電池としてよみがえらせていく、というプロジェクト。
・リコー社内で行ってる研修として、社員それぞれの仕事を棚卸しし、SDGsのどの項目に貢献出来るかを分類分けし、SDGsに貢献出来ない仕事はやめてもよい、という形式のものもあり、SDGs達成に向けて日々邁進している。
・環境事業開発センターの開所には苦労した。新しいプロジェクトを進める際は、机上論による反対意見は尽きない。プロジェクトが成功するか否かはやってみないとわからない。
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          【宮井代表の挨拶】

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          【講演の様子】
posted by 金沢エコ推進事業者ネットワーク at 16:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 会員情報
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