【日時】令和元年7月24日(水) 10:30〜12:00
【場所】石川県地場産業振興センター 本館3階 第6研修室
【内容】会員企業の取り組み事例紹介
今回の全体会は、当ネットワーク会員である株式会社田組、環境開発株式会社からそれぞれ環境に関する取り組み事例をご紹介いただきました。以下、事例発表の概要になります。
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(1) 「(株)田組のエコ活動と田産業グループの取り組み状況について」
株式会社 田組 総務部 蔵下 祐生 氏
・田組のエコ活動としては、基本的なことであるが、エアコンの温度管理の徹底、昼休みの消灯、ゴミの分別については、ゴミ箱のふた部分に画像付き貼り紙をして、一目で何のゴミ箱かわかるようにしている。
・グループウェアを活用し、講習会等で得たエコに関する知識等を全社員で共有している。また、ISO14001のマニュアルや社内方針等を掲載し、社員教育に活用している。
・平成28年4月にエコドライブ推進事業所に認定され、また、エコドライブ指導アドバイザーになった社員は、社内のエコドライブ教育を担っている。
・平成2年から、本社や営業所周辺地域の清掃活動を行う際は、社員約100人で、地域住民と連携しながら、作業を行っている。平成28年にいしかわ我がまちアドプト制度に認定された。本社周辺の木曳川の清掃、クリーンビーチいしかわにも参加をしており、そういった取り組みが評価され、平成27年にいいね金沢環境活動賞を受賞している。
・グループ会社の金沢舗道についても、ISO14001の認証を受けている。また、下水汚泥焼却灰の有効利用にも力を入れている。下水汚泥焼却灰は従来は埋め立てることしか出来なかったが、アスファルト合材の材料であるフィラーとしてリサイクルすることを可能とした。リサイクルの流れとしては、下水処理場で焼却灰発生→焼却灰プラントに運搬、処理→アスファルトプラントに運搬、焼却灰入り合材の完成、というもの。全国で唯一の技術である。
・平成30年には全合材の出荷本数は約50,000t、焼却灰入り合材の出荷本数は18,000tとなっており、割合は36%である。今後も上昇させたいと考えている。
・下水汚泥焼却灰のリサイクルについては、SDGsの12番「つくる責任、使う責任」にも寄与すると考えている。
・この合材については、環境フェアにも出展し、一般人にも周知している。
・プラントの敷地内には、デマンド監視装置を設置し、電力使用量削減を図っている。また、電力事業者の見直しも毎年行っている。
・グループ企業のホテルについても、ホテル館内のLEDやセンサー照明で電力消費を抑え、また、宿泊システム、顧客管理システム、カードキーの活用によって、宿泊客の状況をモバイル端末で把握することができ、無駄なエネルギーを使わないよう注意を払っており、また、宿泊客の人数を把握しておくことで、料理の廃棄が出ない様に、作る量を調節している。
・夏の室温抑制のために、ホテルで屋上緑化を行い、テラスを整備した。
・今後は、より一層のペーパーレス化、図面や工事の提出書類等の特に枚数が多くなりがちな物に関して検討を進めていきたいと考えている。会議室にプロジェクターを導入し、会議資料を配付する必要の無い環境整備の検討も進めている。
(2) 「新保処理工場でのエネルギーの有効活用と地域との連携」
環境開発株式会社 取締役 金子 仁哉 氏
・新保処理工場は、新保町の集落から近い所で50m程度の距離であり、地元住民と近い距離で日々の仕事をしている。
・工場内にある第8号焼却炉(平成6年設置)は、老朽化が進んでおり、燃費も良くない上に、古い物なので、焼却作業工程において、社員の負担が大きくなっている。
・埋め立て場も同じ敷地内にあるが、当初192,083立方メートルあった容量も7,000立方メートルまで減少してしまい、容量を増やせないか検討している。
・第9号焼却炉(平成20年設置)は24時間連続稼働で、月一回のメンテナンス時以外は断続的に動いている。
・新保処理工場の課題としては、@NIMBY(NOT In My Back Yard 施設の必要性は認めるが、自らの居住地域には建てないでくれ、という考え方や態度)、A装置の老朽化(8号炉、埋め立て場)Bエネルギーの有効活用(焼却炉が2基あるが、放出される熱エネルギーを有効活用できていなかった。)の3点が挙げられる。
・当社は、廃棄物の適正処理、リサイクルの高度化(極力リサイクルできる物はリサイクルする)エネルギーの有効活用(どうしてもリサイクルできない物がある場合には、焼却をするが、その際の熱の有効利用)、地域との連携を目指している。
・エネルギーの有効活用については、9号炉が竣工した当時は、廃棄物を燃やした際、ボイラーで熱交換した高圧の蒸気を使用し、タービンを回して、焼却炉を動かすためのファンの動力源としていた。当時は熱回収率は1%程度であった。
・平成26年から、上記の運用を見直し、蒸気の利用方法を、焼却炉を動かすための圧縮空気を作るコンプレッサの動力源とした(蒸気コンプレッサの導入)。また、小規模の発電機を二機導入し、熱エネルギーを電力とする運用もスタートした。この結果、全体削減電力量の向上(769,485kwh)に成功し、省エネ大賞受賞の一助となった。
・地域との連携については、地元の小学生向けの工場見学等を十数年前から行っていたが、そのようなイベント時のみのつながりとなってしまい、平時は全く関わらない、という問題点があった。
・そんな中、地元の方と顔を合わせると、20年間顔ぶれがあまり変わらない事に気づき、ヒアリングをしていくと、住民の高齢化と後継者不足、それに起因する人手不足による休耕地の増加といった懸念事項が存在することに気づいた。
・そこで、地元と協定を結び、新保ふれあい農場という施設作り、地元民と会社と共同でトマトの栽培を始めた。収穫したトマトは、JAで販売している。この事業により、地域活性化ができ、また焼却炉から余熱の有効活用、企業イメージの向上が実現できた。
・余熱の有効活用について、具体的には、廃棄物の焼却炉の炉壁の使用済み冷却水(処理が終わると100度程度になっている。)を利用して、ビニールハウスの中を19度に保ち、トマトの温室栽培を行っている。
・水と肥料の供給は自動化しているが、収穫、剪定等の作業は地元の方と社員とで毎日共同で行っている。
・今後は、農業事業の規模を拡大し、また、地域振興、地域活性化を行い、その結果、現在の迷惑施設という立ち位置から、積極的に誘致したい施設へと変わっていくことを目指している。
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両社とも、会員にとって、今後環境保全活動を進めていく上でとても参考になる事例を発表いただきました。発表された取り組みの中には、すぐに取り入れられる身近なものもあり、よい刺激になりました。我々事務局も含めて当ネットワークとして、今後ますます環境保全活動に邁進していきたいと思います。